遺産は全部あげると言われていたけれど、遺言書を作成していなかったというケースは、多くあります。
このような口約束だけの場合、口約束どおりに遺産を全て相続することは難しいと言えます。

遺言は、要式行為とされます。つまり、法定相続分とは異なる相続をするためには、民法に定めた方式に則って遺言を作成しなければならないとされています。この方式にのっとっていない口約束だけの遺言は、遺言としての法的効力はありません。

そのため、遺言に遺した場合とは異なり、全ての相続人が同意しなければ、相談者様が全ての遺産を相続することはできません。

遺言としては効力がなくとも、死因贈与として有効の可能性はあります。死因贈与は、死亡を原因とする贈与契約とされますから、遺言とは異なり口頭でも成立得ます。もっとも、契約が成立していることを立証する必要がありますが、契約書が存在していない場合、言った言わないの話になり、立証が困難であるといえます。