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解雇された会社と解雇を争っていますが、別の会社から正社員で働かないかという話がきました。
別の会社に就職すると何か影響がありますか?
解雇を争う場合、解雇が違法で無効だから労働契約上の地位が存続しているという地位確認の請求(復職を求めることです)とその間の賃金の請求(いわゆるバックペイと言われます)を求めていくことになります。
ところが、争っている際中に別の会社に就職した場合、これらの請求に影響が出る可能性があります。
労働契約上の地位を確認する利益は、その従業員がその会社で働く意思を持っていることを前提とするものです。
ところが、別の会社に就職したのであれば、もう解雇された会社で働く意思はないのではないかという問題が生じます。更には、再就職をしたことをもって、退職の合意が成立しているのではないかも問題とされます。
この点、裁判例は判断が分かれているようですが、他の会社に再就職したことをもって一律に就労の意思を喪失したとまではいえないのではないでしょうか。解雇された以上、解決するまでは給料は出ませんから、生活を維持するために働かなければなりません。
解雇された労働者が、解雇後に生活の維持のため、他の就労先で就労すること自体は復職の意思と矛盾するとはいえないとする裁判例もあります。
ですから、例えばアルバイトなどの一時的な就労であったり、正社員でも賃金が大きく下がっていたり、これまでのキャリアとは関係ない業務に就いているなど、具体的な事情から、再就職していても復職が認められるのであれば戻りたいと考えていることを主張していく必要があります。
解雇後はその会社で働いていませんが、会社による就労拒否によるものですから、会社に帰責事由があるとして、賃金の請求をすることができます。
これがいわゆるバックペイと言われるものです。
しかしながら、別の会社に就職して収入を得ている場合には、これを償還しなければなりません。その会社で働く代わりに別の会社で働いて賃金を得ていたのであるからその分は差し引きましょうという理屈です。
もっとも、判例は、解雇期間中の就労不能は休業手当請求権を生じさせるとして、平均賃金の6割相当額はバックペイから控除されないと判断しています。
実際には、平均賃金で計算したり、賞与は全額控除などバックペイにおける収入の控除は複雑な計算になります。
いずれにせよ、別の会社に就職した場合には、解雇期間中の給料について、一定額が減額される可能性があります。
解雇中に別の会社に就職する場合には、就労の意思を喪失しているか争いになることとバックペイの控除という影響が出ます。生活を維持するために働くことは必要ですから、この点に注意しながら、再就職を検討することになります。
再就職に際して、例えばこれまでの会社に何か必要な手続きをする場合(例えば離職票や雇用保険被保険者証など)には、あくまで一時的な就労であって、解雇が撤回されたり無効だった場合には、いつでも復職をするおいう意思を明確にしておくことなど不利にならないように工夫するのがよいでしょう。
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